「うそつき」 架谷野家の薔薇薔薇  感想

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タイトル:架谷野家の薔薇薔薇

作者:ラシ様

配布サイト:http://isaraza.moo.jp/kayano/index.html

時間:3~4時間

 

※流血表現が結構ドギツイのでお気をつけください。

 

お久しぶりです。今回はいさら座様の「架谷野家の薔薇薔薇」をプレイさせていただきました。いさら座様のゲームは「ギャグとシリアスの温度差」、「登場人物のぶっ飛び加減」が非常に特徴的ですが今回も全開おなかいっぱいでした!

まず攻略対象についてですが、「吸血鬼」「狼男」の二名です。お兄ちゃんと弟はめちゃくちゃ出ますが攻略できません。というか、(ネタバレにつき反転)ほとんどのエンドで死んでしまいます。さらに言うと「ママ」が非常に頻繁に推される為純粋に恋愛を楽しみたい方にはオススメできません。

 はじめは公式サイトの明るさと同様に進んでいきます。「とりあえず適当に~」って進めていった結果、最初はED2に到達しました。以下容赦なくネタバレの嵐なので反転

まずお兄ちゃんのしていること、スチルにガツンと衝撃を受けます。次に謎のハッピーエンドが進み「えっ?」とひたすら首をかしげたのですが一気に現実に引き戻されました。さっきまでのローズがいなくなってました。正直見ててキツイ状態のお部屋と気のふれた吸血鬼、って構図に思わず「ローズ様~!!抱いて~!!!」って叫びかけました。スチルもとんでもなく妖艶で、恐ろしくて、それから最後の後味の悪さ。バニラさんが好み一直線なのでそこはおいしかった。「阿賀太と同じ」っていうのはもしかしなくても薬物か…?とかいう邪推したり。主人公も飲まされてましたし。余裕のない公爵が好きすぎてもう容赦なく死ぬまで吸われたい…。主人公の最期に不覚にもときめきマッスグマ

続いてエンドごとに分かれて感想をつらつら~っと。同じく怒涛のネタバレなので反転です。

 

ED1

 「主人公が一番幸せなエンド」といえばこれになると思います。ローズがヘタレかわいい。
『君が手を差し伸べるなら、僕は最後まで離さない』
公爵にベタ惚れしてしまいます。髪の毛もしゃってしてやりたい。サイトによるとED2が正規エンドらしいのですが、こちらのほうがよっぽど幸せそうです。今までのしがらみをすべて捨ててしまうこと、兄弟とママに対する最低の裏切りともいえます。ここからエンド6の真相に分岐しますので、あとから見るとまた印象が違いました。

ED3

 「弟」または「兄」から見た場合に不幸なエンド。ただし家族全滅はしてないと考えたらまだマシ…?最後に出るスチルの絶望感が半端じゃありません。ED1の派生に近い終わり方です。お薬ガンギマリお兄ちゃん最高にイカしてますね。

ED4

 『どんなに遠く離れたって、忠犬は主人を忘れたりはしませんから』
ある意味ED1より幸せ?な終わり方かもしれません。狼男……ではなく、架谷野家の使用人であるルルと添い遂げるエンド。これからのことに一杯不安はあるけれど、二人で幸せになるビジョンが見えるようなスチル。と、思いきやルル、おまえ何やその足…!予想できてましたけどね!兄弟もママもそう簡単に逃がすわけないしね!
ママに詰問されるシーンでは心臓が止まるかと思いました。

ED5

 ED4が「失敗」してしまったバージョンです。カタをつけることに失敗したルルと見るも無残な姿に成り果てた家族。こうして考えるとお兄ちゃんはわりと生存率高めですかね…?最後の不穏なスチルから結末が容易にわかるのも残酷でした。あのあと主人公も後を追って死にそうだなと思ったり。

ED6

 ED1~5を見終えたあと、ED1に入ることで見られる真相ルートです。以下に概要をざっと。
ローズに連れられて飛び立つ主人公。その姿を帰宅しようとしていた阿賀太の回想から真実がつづられ、まず冒頭の手紙は誰が書いたのか判明します。体の弱かった母が亡くなり父が後追い自殺。元々あんまり構われなかった為に母に思い入れがなく、父親が大好きで「母の病院に通わなくてよくなったから、ようやくお父さんに構ってもらえる!」と思っていた『末妹』の十里亜は父の亡骸を見てひどくショックを受けます。見るに堪えない妹に、主人公は「お父さんは吸血鬼に殺されたんだ」という嘘をつきました。それが架谷野家を「吸血鬼ハンター」一家にしてしまった原因でした。
父親が死んだ後のお兄ちゃんの気持ちを考えると切なくなりました。残されたのはみんな子供で、家族を守っていけるのは自分しかいないという切迫感と、まだ現実を直視できず悲しみに暮れる弟妹のすれ違いがもどかしい。「もう家族の誰とも離れたくない」という気持ちがこの結果につながったのだと思います。ED1の分岐、というように主人公はこの家を「見捨てて」逃げていますし、手紙は最初のとおり捨てられています。なんていうか救いのなさを実感する、けれど真相がわかって妙にすっきりしたEDでした。

 

 最後に、人を選ぶゲームではありますが絵、シナリオ、キャラクター等々どこをとっても魅力的ですのでぜひ一度プレイしてみてください…!