【感想】『銀ちゃんの恋』(2021・花組・梅田芸術劇場シアタードラマシティ)

どう感想を書けばいいのかな~~と悩んでいたら日数が経っていました。

『銀ちゃんの恋』 公演概要

1982年に「直木賞」、1983年に映画版で「日本アカデミー最優秀脚本賞」を受賞した、つかこうへい作「蒲田行進曲」。宝塚歌劇では1996年に、久世星佳主演で初演、2008年と2010年には、大空祐飛主演で再演。異色の題材ながらいずれも大好評を博しました。
自己中心的でありながら、どこか憎めない映画俳優の銀ちゃんが、恋人の小夏や大部屋俳優ヤスなど、個性豊かな「映画馬鹿たち」と繰り広げる破天荒でありながら、人情味溢れる物語が、再び宝塚の舞台に登場致します。
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2021/ginchannokoi/index.html より引用


新規オタクなので初演と再演を知らず、またド平成生まれなので原作のことも全く知らず、公演概要を読んでもざっくりすぎて内容が全然掴めません。幕間に公演プログラムを買ったんですが、プログラム後ろの方に載っていたあらすじはもう少し丁寧に書かれていたので開演前に買えばよかったです……。

感想

前置きなのですがこのブログではできるだけポジティブな内容だけを綴っていきたいと思っていて、ただ、あくまで私の趣味とは少し違う物語だったな、と感じています。
『銀ちゃんの恋』のストーリーが大好きでとても思い入れのある、という方が読んでどう感じられるか分からないので、気にされる方はブラウザバックしてください……!


一幕を観る私「ホエ~~(話の勢いに圧倒される)」
二幕まで観終わった私「これタイトル『ヤスの恋』では????????

銀ちゃんも小夏もヤスも演技力が強く要求される、とても難しい役だと思います。銀ちゃんをなんとなーく「ワガママカリスマ俳優」くらいの認識でいたので、「柚香さんがやったら似合いそうだな~(※主観です)」と思っていましたが、実際にマイティーが演じているのを見るとほんっとうにぴったりでした!ポスタービジュアルまんまのド派手な装いに軽妙な雰囲気、そして華やかでありながら昭和の古臭い感じをしっかり出していてカッコよかったです。マイティーが演じると、二枚目映画俳優っていう設定に説得力がありすぎる……!

あと銀ちゃんのライバル俳優・橘がホッティーというのもよかったです。マイティーは面長で伝統的な「二枚目」!って顔立ちしてて、ホッティーは顔が逆三角形でちょっと中性的な現代風イケメンですよね。タイプの違うイケメン二人が並んでたり張り合ってたりするのが大好きなオタクなので、もうお得感しかないって感じです(?)
初っ端から「わしとチッスせい~!chu」ってやつ最高じゃなかったですか?顔がいい……。
橘は物語の本筋(というか小夏関連)にほとんど絡まないため、二幕中盤以降話がどんどん辛くなっていって、最終的にはオペラグラスで橘の顔をひたすら見つめてココロを保っていました。清涼剤や……。

突然の橘・ここがカワイイ・ポイント

  • 先斗町に舞妓、待たせてるんや(小指を立てる)」
  • 「トウキョウでクイズ番組出るんでね!(ドヤ顔)」
  • 銀ちゃんの呼び方が「銀の字」(かわいい!)
  • フィナーレのよく分からん謎の踊り(盆踊りもどき)
  • そもそもロン毛ポニーテールの帆純まひろってその時点でビジュアル大優勝では?(錯乱)

めちゃくちゃ話が反れますが、ロン毛のホッティー見たさにスカステで『蘭陵王』を見たところそっちも最高でした。恋焦がれ嫉妬の炎に狂う帆純まひろの摂取は健康にいい(要出典)

つづいてヒロイン・小夏の星空美咲ちゃん。
研3ですが大抜擢というか、実力に見合うだけの役が与えられたんだ、と感じるくらい全部が上手かったです。まず歌が上手くて歌声が耳に心地いいです!最後、生まれた子供に「蒲田行進曲」を歌って聴かせる場面など、かすれて悲哀に満ちているけど音程は全然外さず感情がよく伝わってきました。
元々会話のやりとりが早いうえに、小夏はヒステリックに叫ばなければならない場面が結構あるのですが、大声を出してもキンキンしないやわらかい声質なのでこれも耳に優しいです。あと手足が長くて女優さんの衣装(序盤の真っ赤なドレス)がよくよく映えます。でもピチピチ(死語)で本当にかわいいので「落ち目の」女優っていうのはやっぱり少し無理があるかも……とは感じました。
これからも観るのがとっても楽しみです。

飛龍つかさくんのヤスは全人類が絶賛してますが(クソデカ主語)、ほんとに非の打ち所がないです。体当たりの、こちらが観ていて辛すぎて目をそむけたくなるくらい真に迫った演技、パワー全部乗ってるんじゃないかっていうくらい豊かに響き渡る歌声、改めてつかさくんの舞台能力の高さに驚きました。
『Dream on!』をスカステで見てつかさくんカッコイイ~!歌うまい!って思ったのに、『アウグストゥス』ではあんまり出番がなく見つけられなかったので、今回たくさん堪能できて幸せでした。
最後部屋中めちゃくちゃにして、ぬいぐるみのくまさん抱きかかえてプルプルしながら怒鳴ってる場面とか、辛すぎて辛すぎてウウウウウン……となっていました。次は超幸せな感じの飛龍つかさを浴びたいです。



私の父は1960年代生まれで「蒲田行進曲」映画のド真ん中世代なんですが、家でもよく昭和のドラマをケーブルテレビで見てるんですよね。大体が刑事ものとか事件もの(?)で、男の都合に振り回された女が他人を殺すか他人に殺されるか、みたいな、全部おんなじ話ばっかりで……。小夏は幸せになるために、自分の好きな男ではなくて自分を好きな男を選んだのに、どうしてこうなっちゃったんだろう、って感じてしまうし、最後「全部(一部?)劇中劇でした~」というオチでも全然スッキリはしないし、演者であるスターさんのことはもちろん大好きですがヤスや銀ちゃんを「憎めない不器用な男」とは思えませんでした。全然憎める(え?) でも何度も書いているように芝居が足りなかったとは全く思わないので、単純に自分の好みの問題なんです……。
おんなじメンタル弱めのヤバ男でも『夢千鳥』はめちゃくちゃ好きなんですけどね……!


あと思い出せることと言えば、一度幕が下りてからごあいさつで再度上がる時、舞台が暗くなってて虹色に光るマイティーがぼんやり浮かんでるのがかわいかったです!()
次の観劇予定『柳生忍法帖』がしばらく先なので、スカステの溜まっている録画をドンドン消費していきたいと思います。そして絶対絶対観たい『プロミセス、プロミセス』が当たりますように……(当選祈願)