浅知恵を絞る

主にフリー乙女ゲーム/シチュエーションCDの感想をのっけてます。

【!配布終了】自殺者×勇者×アンダードラック 感想

これが、フリー乙女ゲームや。

作者:藤様
配布サイト:http://ankrache.xii.jp/
プレイ時間:1時間弱

同人乙女ゲームの1番いい所は安さでも手軽さでもなく、(勿論それらも魅力の一つですが)作者のやりたいことが、やりたいようになされている点だと思います。
フリー乙女ゲームで商業並のクオリティのものは?と聞かれたら、私はPentagon Syndromeだと答えますが、フリー乙女ゲームの1番好きな作品は?という質問にはこの作品を挙げます。それくらい、思い入れがあって大好きなゲームです。

主人公はテンションが鬼のように高いショタコン喪女。顔は出ませんが個性はかなりぶっちぎっています。攻略対象という言い方だとやや不適なんですが、一応他の登場キャラクターはショタと白衣の男性の2人です。
このゲームの目標は、ショタの勇者に怪しい薬(通称ゲボマズ)を飲ませてステータスを上げ、魔王を倒せるようにすることです。ショタは勇者になるべく日々ゲボマズを飲んでいます。最初の時点では無口な子ですが、だんだん言葉を覚えてこちらに懐いてくる様子はショタコンじゃなくても癒されます……。

 

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↑勇者の育成画面。ドリンクを選んで与えます。


白衣の男性ことおかっぱ博士は、主人公に負けず劣らずの語彙力でバチバチに口の悪さを発揮する謎の男性です。神様の部下的な感じで働いているらしく、常に過労気味。

 

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↑おかっぱ博士。はちゃめちゃに口が悪い。


エンドは6つあり、うち人類が救われるものは2つ、ハッピーエンドは1つ。えっ!?
そう!!人類が救われることをハッピーと定義するなら、おかっぱ博士のハッピーエンドはありません!!(ババーン)
以下キャラ別にエンドについての感想等を書いていきたいと思います!ネタバレ部分は反転してください。

 

ショタ(勇者)
このゲームのメイン攻略キャラ(?)です。なんと名前変更可能。
彼は主人公が序盤に自転車で突っ込もうとした小学生です。主人公と一緒にクソトラックに轢かれてご臨終し、「主人公を生き返らせること」を条件に、勇者になることを決めました。
主人公は魔王を倒せば勇者も生き返ると思っていましたが、唯一の(?)ハッピーエンドことエンド1で、彼は自分が生き返らないこと、その上輪廻の輪からも外れるであろうことを知っている上で魔王に立ち向かっていたとプレイヤー側は初めて分かります。
この事実を知った後もう一度ゲームをプレイしてみると、勇者との日常になかなか思うことが出てきます。彼は日数経過で、言葉を覚えていくだけではなく、感情の表現方法まで覚えていくように見えます。
この事実を知らず、またおかっぱ博士にも何も言われないのがエンド4です。世界は救われたけれど主人公は何一つ覚えていないし、そこにはもう勇者はいない……という終わり。
私は正直ショタキャラが好きではないんですが、勇者は全然平気というかむしろ好きなほうでした。これは「勇者が甘えた態度を取らないから」というのが大きいです。どのエンドでも彼は絶対に弱音を吐きません。負けるかもしれないと分かった上で、エンド2で主人公に求婚してから背を向ける様は切なくなります。
結婚とはものを交換することだから、自分は指輪をあげるから、何かほしい、とねだる勇者。ここまで直接的にお願い事をしてくるのはこれが最初で最後。思いっきり甘さを味あわせてから普通に人類が滅亡するエンド2、私的には最高だと思います(?)


おかっぱ博士
このゲームのダークホース。
おかっぱ博士エンド(だと私が勝手に思ってるエンド3)を終えた時、今まで自分が持っていた乙女ゲーム観的なものがばらばらに崩れ去って、がつんと殴られたみたいでした。
勇者に関する秘密は大体ゲーム内で明かされますが、おかっぱ博士はフルコンしても謎の多いキャラクターのままです。それでもはっきり言えることは、彼はどんな乙女ゲームのキャラクターよりも、とびきりずるい男だということです。
だって仮にも(?)乙女ゲームの主人公に、床を舐めさせたりウジ虫ゴキブリ馬鹿呼ばわりしたりかなりバイオレンスな目に遭わせたりしてるのに、まあ主人公もどうしようもない女なのに、彼は、人類が滅亡する3分前に、結婚してって頼んだらいいよって言っちゃうんですよ。なんちゅー男や。
このゲームでは他にも人類が滅亡してしまうエンドはあります。そのときの主人公は一人、部屋で鐘の音を聞いて終末を迎えます。
だけどこのおかっぱ博士とのエンドのときだけは、横に彼がいるんです。人類がもう死に絶えるって分かってても、横には今まで散々悪態をついて暴力を振るってきたおかっぱ博士が優しくこちらを抱き寄せて、座っている。作中ずっと忙しそうだった彼が時間なんて気にしないで横でこちらと話をしてくれてるって感動は、本当にプレイしないとわかりません。11回求婚してフラれてる身に沁みます。
人類が滅亡したらおかっぱ博士もいなくなるのか、それとも生き残るのかはゲームには描かれていません。ですが、彼の横で静かに終末を迎えるエンドは決してバッドエンドではありません。おかっぱ博士は頑なに名前を教えてくれませんでしたが、鐘の音が響く中、出血大サービスだと、最期に耳打ちで教えてくれて……というエンド3。

 

主人公(名前変更可)
これは乙女ゲームなのでこの楽しみ方にケチをつけられる筋合いはないんですが(予防線)、ものすごく個性的な物言いや態度をするわりに、私は彼女にすんなり自己投影できました。
その最たる理由が自己評価の低さ、及びそれを裏付けるようなキャラクター性だと考えています。主人公は彼氏いない歴=年齢、馴れ馴れしいのに他人と距離を詰めるのが苦手、求婚は数十回だってできるのに、プレゼントを貰う時は自分が貰う価値があるのか考え込んでしまうふとした時のネガティブ思考。
選択肢では何度もおかっぱ博士に求婚できます。その度に聞き流され、最終的には半殺しにされるのに、主人公はどこかその流れに安心しているような、拒絶されることを確認しているような雰囲気があります。

以下はAnkracheさんの他ゲーについての感想・ネタバレも含んでいます。
自殺者×勇者×アンダードラック(zxy)はギャグ中心電波ゲー、ograidetは(あえて分類するなら)鬱電波ゲーと、作品の系統は全く異なる上に主人公の性格も全然違うのですが、この二つのゲームの主人公はよく似ています。
言葉や思考の端々に自己否定がちらつき、さらに他人にも自分を否定することを求める。違うのは、zxyでは自分を肯定して明るいところへ引っ張ってくれる存在(勇者)がいること、ograidetでは自分に寄り添い、一緒に飛び降りて全部終わらせてくれる存在(ストーカー)がいること。

本当に何回もプレイしたくなる作品です。30回くらい人類滅亡させてるのにまだ達成率が96%です。ごめん人類。
個人的にはAnkracheさんの作品の中でおとうとシリーズの次にとっつきやすいと思います。おとうとシリーズは他の作品とは全く毛色が違うので、本当の入門編(?)としてはこっちのが合ってるかも。
自殺者×勇者×グリターデイズに関しては個別記事を書く予定はないので、ograidetの感想記事(いつか書きます)に引っ付けようと思います〜。
お付き合いくださってありがとうございました!次はたぶん僕僕僕の萌え投下になります。たぶん!